生まれたばかりの新生児は、母乳やミルクのみでしか栄養を補給することができません。にもかかわらず、新生児がミルクを飲まないと心配になるのも当然です。
今回の記事では、新生児がミルクを飲まない理由について紹介しています。新生児は1日にどれくらいの量のミルクを飲むのが適正なのか、またミルクを飲ませるための対処法についても解説していきます。
新生児への授乳に悩みや不安を抱えているパパやママはぜひ最後まで読んでみてください。
新生児がミルクを飲まなくて心配…
新生児がミルクを飲まないと心配になるのは当然です。体重が増えなかったり、最悪の場合、脱水症状に陥ったりなど危険なこともあるため、ミルクを飲ませるのに必死になることでしょう。
育児書やネットの記事には授乳の間隔は3時間と記載されていることがほとんどです。しかし、新生児の中には3時間以上眠る赤ちゃんがいたり、少しの量を飲んで少しの時間寝て、また起きて授乳をしてまた寝るという繰り返しをする赤ちゃんもいます。
つい「ミルクを飲まない新生児」とひとくくりにしてしまいがちです。しかし、きちんとミルクを飲ませるためには、どのような生活スタイルなのか?また、授乳の感覚はどのくらいなのか?睡眠の取り方も把握することが大切です。
新生児の適正な哺乳量とは?
そもそも、新生児は1日に母乳やミルクをどれくらいの量飲むのが適正なのでしょうか?
「ミルク、あまり飲まない…」と思っていても、適正量を知ると「実は案外、ちゃんと飲めていた!」なんてこともあるかもしれません。
生まれて生後1週間までの赤ちゃんは、生後0日で10mlからスタートしていることがほとんどです。中には生まれてすぐからたくさんの量を飲める赤ちゃんもいます。
授乳がうまくできず、ペースがつかめない赤ちゃんももちろんいます。
生まれてから1週間は毎日、10mlずつ追加しながら授乳量を調整するのが一般的です。退院する頃までに、1回の授乳量が60ml程度飲めるようになっておけば充分です。
退院してから生後2週間の赤ちゃんには1回80ml程度を3時間間隔で与えるのが基本といわれています。3時間に1回授乳を行うと、1日8回程度授乳の時間があるのが理想といわれています。
ただ、この数字はあくまでも目安ですので、少ない量しか飲めない赤ちゃんもいれば、そうでない赤ちゃんもいます。
生後3週間を迎えると、1度のミルクの量がぐっと増え一般的には、1回100~120mlの量を飲めるようになります。
また、生活習慣が整ってくることにより、少しずつ授乳間隔が開く子も増えてきます。3~4時間間隔で1日に6~8回程度授乳できれば理想です。
これ以上授乳の回数が少なくなるようであれば、脱水症状を起こす危険があるため注意が必要です。
ミルクを飲まない新生児にできる5つの対処法
新生児がミルクを飲まない理由についてはお分かりいただけましたか?ただ、ミルクを飲まない理由は理解できても、そのままの状態でいるわけにはいきませんよね。
そこで、次の見出しでは、ミルクを飲まない新生児にできる対処法を紹介していきます。
主な対処法は下記の5つの方法です。
- 粉ミルクの種類を変更してみる
- さまざまな授乳体勢を試してみる
- 授乳の間隔を3時間空けるようにする
- 他の哺乳瓶の乳首を試してみる
- 体重を測ってミルクが必要なのかを確認してみる
それでは早速、詳しく解説していきましょう。
対処法1:粉ミルクの種類を変更してみる
粉ミルクの味が好みでない可能性が考えられるときには、種類を変更してみるのがおすすめです。
いきなり大容量のものを購入してしまうと、好みでなかった場合に無駄になってしまいます。
少し割高にはなってしまいますが、少量パックやキューブタイプ液体ミルクを購入して、味の好みを確かめてから大容量のものを購入するのがおすすめです。
対処法2:さまざまな授乳体勢を試してみる
横抱きのみで授乳をしているようであれば、さまざまな授乳体制を試してみましょう。
授乳の体制
- 横抱き
- 脇抱き
- フットボール抱き
赤ちゃんのミルクの吸い付きが悪いと感じるようであれば、さまざまな授乳体制を試してみてくださいね。
対処法3:授乳の間隔を3時間空けるようにする
新生児が泣くたびに授乳をしているようであれば、そのルーティーンから抜け出すことから始めてみましょう。
泣いたからといって、すぐにミルクを与えるのではなく、散歩に出かけたり、手遊び歌で遊んだりしながら、赤ちゃんの気持ちを紛らわしてみましょう。
前回の授乳から3時間経ってから授乳をすれば、お腹がしっかり空いた状態になっているはずです。
対処法4:他の哺乳瓶の乳首を試してみる
哺乳瓶の飲み口が合わないようであれば、他の乳首を試してみるのがおすすめです。
たくさんの哺乳瓶を購入するのは、収納にも困りますよね。
1つの哺乳瓶で、乳首を付け替えできるタイプのものもあります。
対処法5:体重を測ってミルクが必要なのかを確かめてみる
母乳とミルクをあげる「混合育児」をされている場合は、本当にミルクが必要なのかを確認するのもおすすめです。
今後授乳をしている場合、母乳をあげた後、足りない分をミルクで補っている方が多いのではないでしょうか。
しかし、母乳がしっかり飲めている場合には、足りない分を補う必要はありません。繰り返し母乳を上げていることで、知らない間に母乳が希望に乗っていることも考えられます。
ショッピングセンターなどの授乳室に設置してあるスケール等を使用して、母測をしてみると、実際にどれくらいの量が飲めているのか把握できるのでおすすめです。
新生児がミルクを飲まない7つの理由
栄養補給をするためには、ミルクや母乳を飲むしかないにもかかわらず、なぜミルクを飲まない新生児がいるのでしょうか。
新生児がミルクを飲まない理由は、主に下記の7つです。
- ミルクの味が好みでないから
- 授乳体勢が難しいから
- お腹があまり空いていないから
- 哺乳瓶の乳首の形が好みでないから
- 母乳だけで足りているから
- 胃袋の容量が小さいから
- 体調がよくないから
この理由について、次の見出しで詳しく解説していきましょう。
理由1:ミルクの味が好みでないから
粉ミルクはさまざまな種類がありますが、どれも味が同じだと思っていませんか?しかし、粉ミルクの種類によって味は若干異なります。
そのため、ミルクの味が合わないと、授乳量に差が出ることがあるようです。
「なかなかミルクを飲んでくれないな…」と感じるのであれば、ミルクの味が好みではない可能性が高いです。
理由2:授乳体勢が難しいから
授乳体制が難しいと、授乳スピードが落ちてしまいます。ほとんどのママが授乳を横抱きで行っているのではないでしょうか。
しかし、授乳は必ずしも横抱きで行わなければならないわけではありません。横抱きの授乳は、お腹が締め付けられるような体制でもあり、スムーズに飲めない赤ちゃんもいるようです。
理由3:お腹があまり空いていないから
赤ちゃんが泣くたびにミルクを与えていませんか?泣くたびにミルクを与えていると、お腹があまり空かず、本来の授乳時間にしっかりと量を飲めなくなってしまいます。
授乳は基本的には3時間の間隔を開ける必要があります。3時間以内に泣いたからといって、毎回ミルクを与えていれば、飲めなくなるのも当然です。
赤ちゃんが泣くとすぐに授乳したくなる気持ちもわからなくはありません。ただ赤ちゃんはお腹が空いているから、泣いているわけでは無いのです。
- 眠たいのに眠れない
- おむつが汚れている
- 快適な部屋ではない
上記のようにさまざまな理由で泣いているのです。また、新生児は気分屋です。つまり、理由もなく泣いていることもあります。
新生児が泣くたびに授乳をするという事は、他の理由で泣いている赤ちゃんを、授乳して泣き止ませているということでもあるのです。
理由4:哺乳瓶の乳首の形が好みでないから
哺乳瓶の飲み口の形もさまざまあります。基本的にはゴムでできていて、同じ質感ではありますが、形が異なるため、飲みやすさに違いがあります。
哺乳瓶での授乳でうまくいかないようであれば、もしかすると、乳首の形が好みでないのかもしれません。
理由5:母乳だけで足りているから
「母乳だけで、できるだけ育てたい」と思っていても、母乳が軌道に乗るまでは、母乳の後にミルクを与えていることもあるのではないでしょうか。
しかし、母乳の後のミルクの飲みが悪いようなら、母乳だけで足りている可能性が考えられます。
繰り返し母乳を与えていることで、少しずつ量も増えてきます。
理由6:胃袋の容量が小さいから
適正なミルクの量は、目安として紹介されているものの、赤ちゃんによって胃袋の容量は大きく異なります。
胃袋の容量が小さければ、たくさんの量が飲めないのも当然です。もちろん反対に、胃袋の容量が大きく、適正とされている目安の量よりたくさん必要な赤ちゃんもいるでしょう。
たくさん食べられる大人と、そうでない大人がいるように、赤ちゃんによって個性があります。赤ちゃんが元気に育っているのであれば、基本的には飲む量が少なくても問題ありません。
理由7:体調がよくないから
普段はしっかり飲めているはずの赤ちゃんのミルクの量が少なくなっているようなら、体調が良くない可能性があります。
生まれたての新生児は、お母さんからの母乳で直接免疫をもらっているため、病気にかかりにくいとは言われています。
しかし、絶対にかからないというわけではありません。
普段のミルクの量と違いを感じる場合には、新生児の体調に変化がないか、様子に注目してあげましょう。
充分に哺乳できている新生児が出している3つのサイン
「なかなかミルクを飲んでくれない…」と感じているのは、パパやママだけであって、実は、ミルクや母乳が足りていることも考えられます。
十分に哺乳できているサインを把握することができれば「ミルクが足りていないのかも…」と過度に心配する必要がなくなります。
下記の3つは、ミルクを飲めている赤ちゃんが出しているサインです。
- 授乳の間隔が3時間空く
- 授乳の後に機嫌がいい
- 排尿・排便がきちんとできている
それでは早速、解説していきましょう。
サイン1:授乳の間隔が3時間空く
授乳の間隔が3時間きっちり開くようであれば「1回のミルクの量が少ないな…」と感じても基本的には問題ありません。
授乳の間隔が3時間開くという事は、赤ちゃんの胃袋の利用量と消化のペースと授乳量が合っている何よりの証拠です。
きちんと飲めているようであれば、体重も順調に増えていることでしょう。
1回の授乳量にとらわれず、赤ちゃんのペースで授乳をするのが大切です。
サイン2:授乳の後に機嫌がいい
授乳の後にも機嫌が良いようであれば、しっかりと授乳できている証拠です。授乳の量が足りなければ、授乳をしてすぐからミルクを求めて泣く赤ちゃんがほとんどです。
「1回の授乳量が足りているのかな…」と不安を感じた場合には、授乳後の赤ちゃんの様子をチェックしてみましょう。
サイン3:排尿・排便がきちんとできている
赤ちゃんは1日6回以上のおしっこをするのが基本です。1日6回以上おしっこが出ていなければ授乳量が足りず、水分不足になっている可能性が考えられます。
また、新生児のうんちは、水分量が多いのが特徴です。また、1回にまとめてするのではなく、少ない量をこまめにする赤ちゃんが多いです。そのため、1日のうんちの回数は5回から10回程度、中には15回くらい排便をする赤ちゃんもいます。
もちろん、便秘体質の赤ちゃんは少なくなる傾向がありますが、1日にうんち全く出ない事はほとんどありません。
うんちの回数が少なく、おしっこの回数も1日6回より少ないようであれば、授乳の量が足りないと考えられます。
水分不足が原因で、脱水症状に陥る可能性もあるため、1度の授乳量を増やしましょう。
ミルクを飲まない新生児に考えられる病気
母乳やミルクを飲む量が目安より目少なかったとしても、おしっこやうんちがしっかり出ていて、元気があるなら基本的には問題ありません。
ただ、場合によってはなんらかの病気が原因でミルクを飲めなくなっている可能性も否定はできません。
ミルクや母乳を飲まない新生児に考えられる病気を下記に挙げてみました。
- 発熱している
- ミルクアレルギーがある
- 先天性心疾患を抱えている
上記の病気にはどういった症状が表れるのか次の見出しで解説していきます。
発熱している
普段はしっかり授乳できている赤ちゃんが「なぜか今日は授乳の量が少ない…」そんな時は発熱していたり、体調が悪い可能性が考えられます。
いつもの授乳量と違いがある場合には、体調に変化がないかチェックしてみましょう。
ただ、成人と新生児では平熱が大きく異なります。赤ちゃんは体温が高いため、37.5度程度では発熱とは言い切れません。
赤ちゃんの発熱や体調の変化に気づくためには、日ごろから体温を把握しておくと良いでしょう。
ミルクアレルギーがある
粉ミルクは赤ちゃんにとって必要不可欠なものではありますが、中には粉ミルクに対してアレルギーを発症してしまう赤ちゃんもいるようです。
その場合、ミルクを体が拒否するため、飲める量が少なくなってしまいます。
ミルクアレルギーを持っている赤ちゃんには、専用の粉ミルクが販売されています。
「もしかしてミルクアレルギーを持っているのかも…」と感じた場合には、速やかにかかりつけの小児科を受診してアレルギー検査を実施しましょう。
先天性心疾患を抱えている
先天性心疾患を抱えて生まれてきた赤ちゃんも1度に飲めるミルクの量が少なくなる傾向があります。
その場合には、体重が減少したり、他の症状も見られることがほとんどです。
気になることがある場合は、すぐにかかりつけの小児科を受診して相談しましょう。
ミルクの量が少なくても、体重がしっかり増えていればひとまず安心
新生児がミルクを飲まない理由、新生児は1日にどれくらいの量のミルクを飲むのが適正なのか、またミルクを飲ませるための対処法について紹介しましたが、いかがでしたか?
赤ちゃんが母乳やミルクの飲みが悪いと心配になりますよね。そんな時はぜひ今回の記事で紹介した対処法を試してみてください。
もし、今回紹介した対処法を試してもたくさん飲む様子が見られないようなら、赤ちゃんの胃袋が小さめなのかもしれません。
その場合には、体重が一定のペースで増えているようであれば、過度な心配は必要ないので、赤ちゃんにあった量で授乳をしてあげましょう。
ミルクや母乳の量が増えないことが原因で、体重が増えなかったり、減少している、または元気がなくぐったりしている様子が見られる場合には、速やかにかかりつけの小児科を受診しましょう。
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